「健診で脂肪肝と言われました」

外来でよく聞く言葉です。

「でも自覚症状もないし・・どうすればいいの?」

そうなんですよね。脂肪肝は痛くもかゆくもない、だから実感がわかないし、何から手をつけたらいいかわからない。

でも、そのまま放置しておくのはあまりよくない。

今日は、脂肪肝ってそもそも何なのか、そして食事で何が変わるのかをわかりやすくお話しします。


脂肪肝って、何が起きているの?

名前のとおり、肝臓に余分な脂肪がたまっている状態です。

健康な肝臓には脂肪がほとんどありません。でも、カロリーを摂りすぎたり、代謝がうまくいかなくなると、肝臓に脂肪が蓄積していきます。

最近、NAFLDという言葉からMASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)という名称に変わりました。「代謝の障害が背景にある」という本質をより正確に表した名前です。

日本人の約10〜15人に1人はこの状態にあると言われていて、けっして珍しい病気ではありません。


放置するとどうなる?

脂肪肝の多くは、適切な食事と運動で改善が期待できます。

ただ、何もせずに放置し続けると・・

  • 脂肪肝 → 肝臓に炎症が起きる(脂肪性肝炎)→ 線維化 → 肝硬変
  • 糖尿病・心臓病・脳卒中のリスクが上がる

という経過をたどることがあります。

「症状がないから大丈夫」ではないんです。

ただ、裏を返せば早い段階で気づいて食事を変えれば、十分に改善が見込めるのが脂肪肝のよいところでもあります。


食事でまず変えるべき3つのこと

1. 甘い飲み物をやめる

これ、本当に大事です。

ジュース、コーラ、スポーツドリンク、甘い缶コーヒー、フルーツ入りのヨーグルト飲料・・

これらに含まれる果糖(フルクトース)は、肝臓で代謝されるとそのまま脂肪に変わりやすい性質があります。砂糖の中の「果糖」の部分が特に脂肪肝に影響する、という研究が複数出ています。

食事で気をつけているつもりでも、飲み物だけでかなりの糖分を摂っているケースが多い。

まず飲み物から変える、これが脂肪肝改善の一丁目一番地です。

お茶・水・ブラックコーヒーへの切り替えが現実的な目標です。

2. 白米・白パン・麺類を「少しだけ減らす」

精製された炭水化物(いわゆる「白い主食」)も、食べすぎると肝臓での脂肪合成を促します。

「完全にやめる」必要はありません。ご飯を少しだけよそる量を減らすくらいで十分です。

「これまで大盛りにしていた → 普通盛り」 「3杯おかわりしていた → 2杯に」

そのくらいのステップから始めましょう。

また、白米の代わりに玄米や麦ご飯に変えると食物繊維も増えて一石二鳥です。 (食物繊維の働きと現代人の食事の記事もあわせてどうぞ)

3. アルコールは少量でも肝臓に影響する

「お酒はほとんど飲まないのに脂肪肝と言われた」という方も多いのですが、脂肪肝はアルコールとは無関係に起きます。

ただ、アルコールを飲む方は脂肪肝の進行を早める可能性があります。

「少量なら大丈夫」という話もありますが、脂肪肝がすでにある方に関しては、できれば週に2〜3日は休肝日を意識してほしいと思います。


「7%の減量」で肝臓は変わる

日本消化器病学会と日本肝臓学会のガイドラインでは、肥満がある脂肪肝の方に対して「体重の7%を目標に減量する」ことが推奨されています。

たとえば体重70kgの方なら、約5kgの減量が目標です。

急激にではなく、半年〜1年かけてゆっくり減らすのが肝臓にとって安全です。

実は、急激な断食や急な体重減少は逆に肝臓にダメージを与えることがあります。「早く痩せたい」という気持ちはわかるんですが、焦らずコツコツが大切です。

リバウンドしない減量の考え方の記事もあわせてどうぞ)


食べないより「何を食べるか」

脂肪肝の方に食事指導をするとき、よく「食べる量を減らせばいいですか?」と聞かれます。

もちろん摂取カロリーは大切です。でも同じカロリーでも、何を食べるかによって肝臓への影響はかなり違います。

積極的に摂ってほしいもの:

  • 野菜・きのこ・海藻(食物繊維が腸内環境を整え、血糖・脂質の吸収を緩やかにする)
  • 大豆・魚・卵などのたんぱく質(肝臓の修復を助ける)
  • 青魚(さば・いわし・さんま)(EPA・DHAが中性脂肪を下げる働きが期待できる)

食事を「減らす」だけでなく「何を食べるかを変える」という視点で考えてみてください。

当院の管理栄養士も、栄養指導の中で「ゼロにするより置き換える」という言い方をよくしています。やめるのは難しくても、いいものに入れ替えるなら続けやすいですよね。


まとめ

  • 脂肪肝は早めに気づけば食事で改善が期待できる
  • 甘い飲み物を減らすのが最初の一歩
  • 白い主食は「やめる」より「少し減らす」から
  • 体重の7%減で肝臓の状態が変わってくる可能性がある
  • 「何を食べないか」より「何を食べるか」を意識する

健診で脂肪肝を指摘された方は、ぜひ一度、管理栄養士による栄養指導をご検討ください。

食事の記録も含めて、一緒に考えていきます。

それでは、また!


監修:宮脇 大(医師)

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